令和すみだの「かんだすなお」でございます。
昨年末、会派名を令和すみだに変更致しました。
会派名変更に伴い、気分を一新し、清新な気持ちで公務に邁進して行く覚悟であります。
それでは、一般質問に入らせていただきます。
大綱3点についてお聞きします。
区長・教育長には、明確なご答弁をお願い致します。
まず、第1番目の質問は、NHK訪問員の訪問時間に関してです。
最初に、特定商取引法について見ていきます。
特定商取引法第7条と同施行規則第7条で、「訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について『迷惑を覚えさせるような仕方』で勧誘をし、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除について『迷惑を覚えさせるような仕方』でこれを妨げること」を禁止しています。
このように、特定商取引法上では、「迷惑を覚えさせるような仕方」という抽象的な表現で訪問行為を禁止するのみで、「何時から何時まで訪問販売を禁止する」というような明確な規定は存在しません。
しかしながら、消費者庁が公表している「特定商取引に関する法律等の施行について」において、逐条解説として、「迷惑を覚えさせるような仕方」について、「具体的には、正当な理由なく不適当な時間帯に(例えば午後9時から午前8時まで等)勧誘をすること、長時間にわたり勧誘をすること、執ように何度も勧誘をすること等はこれに該当することが多いと考えられる」と明確に述べられています。
つまり、平たく言えば、実質的に午後9時から午前8時までの間は、訪問販売が禁止されているのです。
しかし、最大の問題点は、NHK訪問員の業務は放送法で規定されており、特定商取引法の対象ではないということです。
放送法には、NHK訪問員の訪問時間を規制する規定は存在しません。
よって、NHKは公式サイト上の「NHK訪問員のお手続きについて」というページの中で、「日中にお客様がご不在だった場合、朝や夜間の時間帯にお伺いすることもあります」とはっきりと表明しています。
私のところには、午前8時以前や午後9時以後のNHK訪問員の訪問に関する苦情・相談が数多く寄せられています。
一番酷かった例として、午前0時を過ぎた訪問の事例もありました。
NHK訪問員は、特に一人暮らしの高齢者や一人暮らしの女性等の弱い立場の人を狙って訪問して来ます。
高齢者や女性にとって、夜遅くのいきなりの訪問は、恐怖以外の何物でもないでしょう。
このようなNHK訪問員による迷惑な時間帯における訪問は、区民の平穏な生活を脅かしていると言えます。
区民の安心・安全は、行政が守っていかなければなりません。
しかし、公共放送とは言え、一特殊法人の営業活動を条例で縛りを掛けることは困難であろうかと思います。
しかし、その現実を踏まえても、法律によるNHK訪問員の訪問時間の規制がなされておらず、迷惑な時間帯における訪問が頻発している以上、行政として何らかの施策を打って区民の平穏な生活を守るべきではないかと考えています。
この点につき、墨田区のお考えをお聞かせ下さい。
次に、第2番目の質問は、いわゆる「歩きスマホ」に関してです。
スマートフォンを操作しながら歩行する、「歩きスマホ」による接触事故が年々増加しており、社会問題となっています。
道路交通法が改正され、令和元年12月1日から、車両を運転中のいわゆる「ながらスマホ」に対する罰則が強化されました。
しかし、「歩きスマホ」については、現状では法令による規制がなされていません。
警察官による取締りの法的根拠もなく、野放しにされているのが現状です。
携帯電話会社や鉄道会社は、「歩きスマホ」の危険性を啓発していますが、効果が出ているとはとても言えない状況です。
平成30年7月、JR東海道線東静岡駅ホームで、私立中学三年の男子生徒が「歩きスマホ」をしながら線路側に向かって斜めに歩き、そのままホームから足を踏み外し、後ろから入線してきた列車と接触して、ホームと列車の間に挟まれて死亡するという痛ましい事故が発生しました。
この事故は、氷山の一角です。
国土交通省が鉄道会社の報告をまとめた統計によりますと、「歩きスマホ」による線路上への転落事故は増加傾向にあります。
また、統計には表れていない事故も多いのではないかと想像します。
更に、「歩きスマホ」は、歩道においても同様に危険な行為です。
特に、高齢者・障害者・子供等の社会的弱者にとっては、脅威となっています。
私自身も、対面から向って来る「歩きスマホ」をする人を避けようとして、別な人にぶつかりそうになったことがあります。
交通工学が専門のある大学教授は、「『歩きスマホ』は、視界が狭まり、目線が足元を向くため、前方から近付く人に気付き難く危険だ」と指摘しています。
同教授の検証実験によると、通常歩行時の視界は左右に約3メートルの広がりがあるが、「歩きスマホ」は20分の1、つまり、約15センチメートルに大幅に縮まるということです。
そして、「歩きスマホ」をする人が前方の人や物を認識するのは、約1.5メートルまで近付いた時点ということで、向かってくる歩行者を自ら避けることは困難です。
また、同教授は「実験では、真っすぐ歩いているつもりでも、画面に熱中すると無意識に蛇行して歩く人もいた」と問題を投げ掛けています。
そして、「事故防止にはモラルの向上が必要だが、条例制定や通信会社の対策も有効ではないか」と専門家としての意見を述べています。
一方、海外に目を向けますと、米国ニュージャージー州フォートリーでは、「歩きスマホ」を禁止する条例が制定され、違反者には罰金が科されています。
また、米国ハワイ州ホノルルでは、 道路横断時の「歩きスマホ」を禁止する条例が制定され、違反者には罰金が科されています。
日本では法規制がなされていない以上、墨田区も条例制定や啓発活動等何らかの施策を打つべきではないかと考えています。
この点につき、墨田区のお考えをお聞かせ下さい。
最後に、第3番目の質問は、タブレット端末やスマートフォンなどの通信機器使用方法についての小中学校の児童・生徒への指導に関してです。
しかし、スマホ依存症の問題が巷間言われている通り、その使用方法を誤ると、良薬が劇毒物になってしまいます。
タブレット端末やスマートフォンの使用方法やマナーは、日本社会そのものがまだ成熟段階に達していないと感じています。
正しいことを子供に指導するべき大人のマナーが、まだ十分だとは言えないのです。
高度情報化社会に必要な情報マナー教育を、社会全体で考え直す時期に来ているのだろうと思います。
さて、話は変わりますが、墨田区が小中学生に対し、読書量を増やすよう施策を打っていることはよく承知しております。
小中学生の読書量減少の原因の一つとして、タブレット端末やスマートフォンの使用過多が考えられます。
学研教育総合研究所が2019年8月に全国の小学生1,200人を対象に行った読書に関する調査があります。
一ヶ月の読書量は平均3.1冊で、30年前の1989年調査時の平均9.1冊と比較して約三分の一に減少しています。
最も読書量が多かったのは1年生の3.8冊、一方、5年生は2.3冊、6年生は2.4冊と高学年になるほど読書量が減る傾向が見られます。
男女別に見ると、男子の平均は2.8冊、女子の平均は3.4冊で、女子が若干上回っているようです。
また、テレビの視聴時間も、一日あたり平均1時間15分で、30年前の平均2時間5分の約6割に減少しています。
こちらは、学年差は比較的小さかった模様です。
さて、30年前と比較して、読書やテレビ視聴時間が大幅に減少した原因として、タブレット端末やスマートフォンを使って、子供たちが動画の閲覧やゲームに時間を充てていることが大きな要因と同研究所は見ています。
私は、読書を通じて、子供たちは様々な論理展開や思考方法を身に着け、自分なりに考えて理解する経験を積んでいくべきものだと考えます。
10代までの感受性豊かな年代での読書と成人してからの読書では、意味合いが全く違うと思います。
10代までにどれだけ良書を読んだかが、その後の人生の豊かさを決めると言っても過言ではないでしょう。
一方、インターネットを通じ、大量の情報を入手することが出来、また、自分で気軽に発信することも可能な時代になって来ているということも事実です。
そういう時代であるからこそ、改めて読書の重要性を感じ、子供たちには様々な本と出会い、自分の頭で考え判断する能力を身に着けて貰いたいと思います。
そこで、お聞きします。
墨田区では、小中学校の児童・生徒に対し、タブレット端末やスマートフォンなどの通信機器使用方法に関しどのような指導を行っていますか?
また、現状では、どのような点が問題だと考えていますか?
現状について教えて下さい。
以上で、私の一般質問を終わります。
ご静聴、誠にありがとうございました。
(区長答弁)
1.NHK訪問員の訪問時間対策について
まず、NHK訪問員の訪問時間についてです。
すみだ消費者センターでは、NHK訪問員に関する苦情・相談も受け付けており、今年度は、1月末時点で 11 件寄せられていますが、ここ数年は、減少傾向となっています。
これらの苦情については、ご指摘の通り、特定商取引法が適用されず、現時点で法的な根拠がないため、消費者相談員によるあっ旋等の対応ができません。
このため、受信契約の必要性や、早朝・夜間も含めた執拗な勧誘に関する相談に対しては、事業者に苦情を申し出ることや、NHKの相談窓口を案内するなど、助言を行っています。
なお、これらの相談内容については、都及び国民生活センターにも情報を提供し、法の下において適切な対応が図られるよう、国の動向を注視していきます。
2.「歩きスマホ」対策について
いわゆる「歩きスマホ」は、スマートフォンの普及とともに社会問題化してきており、今後は自治体においても一定の対策が必要と認識しています。
まずは、個人のモラルやマナーに訴える啓発活動が重要と考えており、ただちに条例の制定は考えていませんが、国や都の動向を注視するとともに、他の自治体や携帯電話各社の対策なども参考にしながら、調査研究を進めていきます。
(教育長答弁)
3.スマホ等使用方法の児童・生徒への指導について
まず、タブレット端末やスマートフォンなどの通信機器使用方法についての小・中学校生への指導についてです。
教育委員会では、児童・生徒の発達段階を考慮し、現在は、これらの通信機器類の、学校への持ち込みを原則禁止とし、保護者から正当な理由による要望があった場合に限り、「在校時は使用しないこと」等の約束事を定め、校長の許可制で持参を認めています。
ただし、通信機器類の利用は、児童・生徒の日常生活の中にも普及してきており、その適切な使い方を、学校で指導することは、情報モラルを育成する上でも大切です。
学校では、電話会社からの講師により、スマートフォンの安全教室を実施したり、東京都教育委員会が作成した「SNS東京ノート」を用いて、SNSの使い方を話し合い、教員の指導の下、自分たちでルールを決めたりするなど、使用法や情報モラルについて指導を行っています。
また、生活指導担当の教員を対象に、教員が児童・生徒に適切な指導を行うための、情報モラルに関する研修会を実施しています。
最後に、通信機器の使用に係る問題点についてですが、悪口や誹謗中傷、画像や動画などでの個人情報の拡散などによる「いじめ」のほか、長時間使用による生活習慣の乱れや、不登校、不読率の増加などにつながる影響が考えられます。
今後も、適切な通信機器類の使用に向けては、使用状況の把握などについて、家庭でのルールづくり等の啓発を含め、児童・生徒に対して、様々な機会を活用して指導を行っていきます。
(2020年2月19日)