神田直と私

神田直/大東市議会議員選挙2024立候補者

令和3年度定例会6月議会一般質問

自由民主党の「かんだすなお」でございます。

本6月議会においては、コロナ禍における時短要請に鑑み、大綱一点について質問を致します。

本日の質問は、自由民主党の東京都議会議員であった古賀俊昭先生が長年に亘って取り組んで来られた課題です。

昨年3月に任期半ばで逝去された古賀俊昭先生に本日の質問を捧げます。

区長におかれましては、明確なご答弁をお願い申し上げます。

 

それでは、通告通り質問に入ります。

都立横網町公園に建立されている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」及び「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」に関する諸問題についてお聞きします。

当該追悼碑には、「一九ニ三年九月発生した関東大震災の混乱のなかで、あやまった策動と流言蜚語のため六千余名にのぼる朝鮮人尊い生命を奪われました」と刻まれています。

つまり、当該追悼碑は、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災の後に起こったとされる、所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」と一般に呼称されているものの犠牲者とされる方々の慰霊のための追悼碑であることが分かります。

当該追悼碑は、1973年(昭和48年)9月、マルクス主義経済学者である美濃部亮吉都知事時代に、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会が建立し、東京都に寄贈されました。

また、当該追悼碑のもとで、毎年9月1日に所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の犠牲者とされる方々の慰霊のために、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」が挙行されています。

当該追悼碑の現在の管理責任は東京都にある訳ですが、墨田区内に設置されている以上、もし何らかの社会的問題があるのならば、墨田区としても東京都に対し必要な声を上げることが地方自治体の道義的責任であろうと考えています。

当該追悼碑に刻み込まれた文言には多々問題点がございますが、本日は犠牲者「六千余名」という数字に焦点を当てて話を進めて参ります。

 

この所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」に関する論考は多数世に出されていますが、私の知る限り、事件そのものを否定する論者から犠牲者二万三千名を唱える論者まで、意見は種々様々です。

百家争鳴の観を呈し、諸説が入り乱れています。

言い換えると、歴史的評価が未だ定まっていないということになります。

つまり、定説はもとより、多数説・有力説とされるような説も今のところ認知されていないというのが現状です。

ここで、それらの説の一例を紹介します。

ノンフィクション「関東大震災朝鮮人虐殺』の真実」において、著者の工藤美代子氏は、大変緻密な調査研究を行った上で、結論を導き出しています。

工藤氏は同著書の中で、朝鮮独立を目論む朝鮮人過激派とそれに扇動された朝鮮人による違法行為・不法行為に対し、日本人の生命・安全を守るための日本人自警団による防衛行為により生命を失った者が約800名程度いるが、その一方、日本人自警団の過剰防衛による殺人被害を受けた朝鮮人は、実際のところ233名だったとしています。

これ以外の諸説についても、参考までに紹介しておきます。

大韓民国臨時政府機関紙「独立新聞」説は、被害者6,419名。

政治学者・吉野作造説は、被害者2,613名。

作家・加藤康男説は、事件そのものの存在を否定しています。

 

次に、日本国政府の所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」に関する見解を見ていきます。

2017年(平成29年)11月2日提出の初鹿明博衆議院議員の「関東大震災における朝鮮人虐殺に関する質問主意書」に対し、内閣総理大臣臨時代理・麻生太郎国務大臣は、次のように答弁しています。

「お尋ねの『関東大震災に際し、流言蜚語による殺傷事件が発生し、朝鮮人が虐殺されたという事実』、(中略)『関東大震災に当たって発生した殺傷事件による犠牲者の総数』、『政府として把握している犠牲者の数』(中略)については、調査した限りでは、政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である」

つまり、日本国政府は、所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の存在を証明する公文書は何も現存していないという事実を公式見解として述べている訳です。

 

さて、今度は、「六千余名」とされる犠牲者が物理的に存在し得たのかどうかについて見ていきます。

関東大震災時に被災地に何名の朝鮮人がいたかの特定は困難を極めます。

そこで、客観的な資料として信頼出来る国勢調査を参考にします。

現在5年毎に実施されている国勢調査ですが、その法的根拠となる「国勢調査ニ関スル法律」は、1902年(明治35年)12月2日に成立し、公布されました。

しかし、日露戦争第一次世界大戦の影響で、実際に第一回国勢調査が実施されたのは、1920年大正9年)10月1日のことになります。

この年は、関東大震災の3年前に当たります。

3年という期間では、調査結果に左程大きな差異は生じていないと考えられるので、この第一回国勢調査をもとに考えます。

第一回国勢調査の「国籍民籍別人口」によりますと、首都圏在住の朝鮮人は、東京府2,485名、神奈川県782名、千葉県40名、埼玉県78名、即ち首都圏一府三県合計で3,385名となっています。

首都圏全体でも3,500名にも満たない人口であった朝鮮人が、6,000名以上殺害されることが果たして可能なのかどうか、至極単純な疑問を抱きます。

 

以上を総括すると、所謂「関東大震災朝鮮人虐殺事件」が実際に存在したかどうかも疑念が残ったままであり、仮にもし存在したとしても、犠牲者が何名であったかについては、現在では全くもって不明であるということです。

再来年、2023年(令和5年)は、十万人余の犠牲者が出た関東大震災から百年目の節目の年に当たります。

一日も早く真実が明らかになることが、切実な願いです。

その真相の究明は、後世の歴史家に委ねられています。

 

そこで、質問致します。

1.報道によりますと、毎年9月1日に都立横網町公園で挙行されている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」に対し、区長は小池百合子都知事とともに、2017年(平成29年)から追悼文を送ることを中止しています。

追悼文を送らなくなった理由について教えて下さい。

更に、これは、東京都と墨田区の間で調整が成され、歩調を合わせたものでしょうか。

また、何らかの事情で仮に都知事が追悼文を送るようになったとしても、墨田区長として毅然とした態度で、信念をもって今後も追悼文を送らない判断をされますか。

区長のご所見を伺います。

 

2.先に述べた通り、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」に刻まれた、犠牲者「六千余名」という数字は根拠が確固としたものとは到底言えません。

歴史的に評価が定まっていない事項を刻んだ碑文を墨田区内の公共施設に設置し展示し続けることは、その社会的影響を考えると大いに問題があると考えます。

しかるに、当該追悼碑が設置されている都立横網町公園墨田区内に存在する以上、墨田区としても独自の検証が必要ではないでしょうか。

また、墨田区に先祖代々住まわれている方からは、当該追悼碑の撤去を望む声も届いております。

検証の結果次第では、墨田区として東京都に対し何らかの改善策を求めることが必要だと考えます。

区長のご所見を伺います。

 

3.9月1日は、関東大震災で被災された全ての犠牲者を追悼する厳かな日です。

都立横網町公園東京都慰霊堂では、皇族の御臨席を賜り、秋季慰霊大法要が執り行われます。

しかし、公園内で独自の追悼式典を催す市民団体も複数あって、その団体間で時として静寂を乱す事態を引き起こすこともあり、静かに犠牲者を追悼する場所とは程遠い環境になってしまっています。

都立横網町公園墨田区の管理権は及びませんが、公園を出た後も騒動が続き、周辺住民に多大な迷惑を掛けている現状があります。

区として、何らかの方策を取るべきだと考えます。

区長のご所見を伺います。

 

以上で、私の一般質問を終わります。

ご静聴、誠にありがとうございました。

 

(区長答弁)

第1は、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」に対して、追悼文を送らなくなった理由、ならびに都と歩調を合わせたものかについてです。

関東大震災時には、本区は壊滅的な被害を受け、震災による犠牲者はもとより、震災の混乱の中で亡くなられた方もおり、犠牲者の中には多くの外国人も含まれ、そうしたすべての方々に対して慰霊の気持ちを込めて、追悼の言葉を捧げています。

震災における犠牲者に対する追悼は、9月1日の大法要において統一的に行うこととし、個別の団体等が主催する慰霊式典等への追悼文の送付は差し控えることとしたもので、都に合わせたということではありません。

また、今後についても、この考えに基づき、対応していきます。

関東大震災時に亡くなられたすべての方々への慰霊の気持ちは変わらないものですので、御理解をお願いします。

 

第2は、 「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」に刻まれた碑文の検証と、都に対し何らかの改善策を求めることについてです。

関東大震災朝鮮人虐殺事件」に関しては、その背景や犠牲者数などについて諸説ある中、個別の団体等の主張も様々であると認識しています。

また、政府としても、虐殺事件の存在を証明する公文書は現存していないとの見解が示される中で、一自治体がその真相を検証することは困難であると考えています。

そうした中で、公平・公正の観点から、横網町公園内の追悼碑の撤去を含め、都に改善を申し入れることは差し控えたいと考えています。

 

第3は、秋季慰霊大法要の開催時の騒動に対する区としての方策についてです。

区としては、当日職員が現地に出向き、ヘイトスピーチと疑われる言動を確認した場合は、記録をとった上で「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」に基づき、都へ申出を行うとともに、法務局へ調査要請を行うこととしています。昨年度は、そのような言動等は確認できませんでしたが、今後も引き続き、都と連携して対応していくとともに、会場周辺の治安維持についても、警察等との連携を図っていきます。

(2021年6月8日)

 

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