かんだすなおと私

かんだすなお

令和4年度定例会2月議会一般質問

自由民主党の「かんだすなお」でございます。

本2月議会においては、大綱2点について質問を致します。

区長・教育長におかれましては、明確なご答弁をお願い申し上げます。

 

質問に入る前に、一言申し上げます。

2月6日、トルコ南東部で発生した大規模地震で被災された全ての方にお見舞い申し上げます。

私は、1985年(昭和60年)3月、イラン・イラク戦争において、法の縛りによって出動出来なかった自衛隊機に代わり、テヘランに取り残された邦人215名を救助してくれたトルコ航空の皆さんのご厚情は決して忘れません。

トルコ・シリア両国の一日も早い復興を心よりお祈り致します。

さて、昨年の9月8日、英国のエリザベス二世女王陛下が殂落されました。

私は、女王陛下から勅許いただいた団体に所属しておりますので、格別の思いがございます。

かつて日本国と英国の間では、戦火を交えるという不幸な歴史がありました。

その結果悪化していた両国民の感情は、皇室と英国王室との交流を通じ徐々に雪解けを迎え、現在の良好な関係に繋がっています。

今上陛下は、英国オックスフォード大学マートン・カレッジに留学された際、女王御一家の私的な休暇に招かれ、女王陛下が自らお作りになった手料理を振舞われたとお聞きしております。

ここに女王陛下の広い御心に感謝申し上げるとともに、心より哀悼の意を表します。

 

それでは、通告通り質問に入ります。

まず、第1番目の質問は、墨田区における将棋に関する施策についてです。

墨田区は、将棋の木村義雄十四世名人の出身地として有名です。

その生誕地は、現在の墨田区東駒形1丁目であり、墨田区教育委員会によって記念碑が建てられています。

江戸時代から脈々と続く世襲制名人の時代が終わりを告げ、実力制名人の時代に移行した後、初代名人に就位したのが木村名人です。

その強さのあまり「常勝将軍」とまで言わしめた偉大な棋士でした。

同時代に活躍した、「鬼の木村」と恐れられた柔道の木村政彦七段と共に、同じ木村ということで日本中の称賛を集めたものです。

木村名人は引退後、名人位通算8期の功績が認められ、十四世名人に推挙されました。

その後、昨年6月に創業地である墨田区両国に本社を移転させた、創刊150年を誇る報知新聞社において、将棋解説者として健筆を奮ったのです。

また、同じ両国には、八代目伊藤宗印十一世名人が邸宅を構えていたことでも知られています。

更に、墨田区が注力し、JR錦糸町駅北東部に新興企業(スタートアップ企業)の拠点として設けられたビルを建設した企業は、将棋界と関係が深く、棋聖戦を特別協賛し白玲戦を主催しており、公益社団法人日本将棋連盟将棋会館は同社の来年9月竣工予定の新築ビルに移転することになっています。

このように、墨田区は、将棋界と非常に所縁のある土地柄と言えます。

 

現在、将棋界は、藤井聡太五冠という若き天才の出現により、大変な活況を呈しています。

自分では将棋を指さないけれど、観戦して楽しむ「観る将」と呼ばれる人達まで現れました。

以前では考えられなかったことです。

ところで、木村名人と藤井五冠には深い関係があります。

藤井五冠は、木村名人の直系の玄孫弟子に当たる棋士です。

正に、将棋の本流たる王者の系譜と言えましょう。

 

さて、日本将棋連盟は、2006年(平成18年)に学校教育課を創設し、将棋の学校教育への導入推進事業に取り組んでいます。

将棋は日本の伝統文化であり、将棋を通し自国の文化に親しむことは、他国の文化をも尊重することにも繋がり、他文化共生教育に適ったものだと考えます。

将棋は、思考力・集中力・決断力・洞察力の養成や、日常生活における礼節を身に着けることが出来るなど、子供たちへの教育的効果の高さが注目されています。

将棋に取り組むことによる良いことは沢山ありますが、ここで一点取り上げます。

将棋という競技が他の多くの競技と全く異なる特殊性は、基本的に競技者のどちらかが「負けました」と負けを認めない限り勝敗が決さないところです。

誰にとっても自ら負けを認めることは、非常に悔しいことです。

それを乗り越え、自ら負けを認め、対局を振り返り敗因を検討することは、子供たちにとって貴重な経験となる人格形成の場であると言えます。

将棋と結び付きが強い墨田区において、小・中学校の教育に将棋を導入することは大変意義のあることだと考えます。

 

そこで、質問致します。

1 大山康晴十五世名人の出身地である岡山県倉敷市は、女流棋士による「大山名人杯倉敷藤花戦」を主催し、30年余になります。

倉敷藤花戦は、将棋界では地方自治体が主催者になっている唯一の棋戦です。

また、昨年6月、中原誠十六世名人の出身地である宮城県塩釜市では、「塩釜市ふれあい将棋フェスタ」が開催され、東日本大震災からの復興を担う地元の人たちを勇気付ける行事となり、成功裏に終了しています。

ところで、墨田区が生んだ傑出した野球選手である王貞治氏に関する展示が、総合体育館で常設されています。

行事を開催することもいいのですが、墨田区が生んだ偉大な棋士である木村義雄十四世名人を顕彰する意味で、生誕地記念碑以外にも、しかるべき場所で常設展示をしてはどうかと考えます。

地域活性化施策(シティプロモーション)に適うものになるでしょう。

区長のご所見を伺います。

 

2 墨田区立学校において、将棋部のある学校は何校ありますか。

あるなら、部員数・一週間の活動回数と時間・活動内容などについて教えて下さい。

 

3 部活動の地域移行は、全体としてまだまだ暗中模索の状況だと考えます。

日本将棋連盟には、将棋の普及のために公認将棋普及指導員という制度があります。

現在、墨田区在住の将棋普及指導員はいらっしゃいませんが、近隣区在住の方は10名程度いらっしゃいます。

将棋部の活動が地域移行になった場合、将棋普及指導員に将棋部の指導へのご協力をいただくことも可能でしょう。

また、年1回程度、専門棋士による出張指導依頼も可能です。

部活動の地域移行を試行する部として、将棋部を選択してはいかがでしょうか。

将棋に興味はあるけれど将棋部のない学校の子供たちにも、将棋に接する機会を与えることになります。

教育長のご所見を伺います。

 

4 先に述べた通り、日本将棋連盟は学校教育への将棋の導入に力を注いでいます。

講師の派遣・盤駒の貸出し・ルールブックの無料配布などが行われています。

過去において墨田区立小・中学校で、「総合的学習の時間」などで、将棋を教育に取り入れたことはありますか。

将棋の教育的効果は高いと考えますが、今後積極的に取り入れたらいかがでしょうか。

教育長のご所見を伺います。

 

次に、第2番目の質問は、文花中学校夜間学級についてです。

文部科学省によると、2022年(令和4年)5月時点で、夜間中学に通う日本国籍の人は519名であり、2020年(令和2年)1月時点より174名増加したそうです。

約5割の増加に当たります。

現状として、全国的に夜間中学が外国人のための基本的な日本語教育の場としても機能していることについて、一定の社会的意義があることは認めます。

しかし、本来のその設置目的は、何らかの理由で満足に義務教育を修了出来なかった方たちに再び学び直しの場を提供することであると考えます。

同省は、日本人の学び直しを重視し、現在40校ある夜間中学を都道府県・政令指定市に各1校以上の設置を促していく方針だそうです。

 

さて、同省によると、2020年度(令和2年度)において、全国の小・中学校の不登校児童・生徒数は約19万6000人に上り、過去最高を記録したそうです。

ご承知の通り、この場合の不登校の主たる定義は、「年間30日以上登校できなかった児童・生徒」のことを指します。

私見ですが、コロナ禍による生活様式の変化や感染症対策による行事・部活動の制限などにより、児童・生徒に多大な我慢を強いていることが大きく影響しているのではないかと考えています。

一方、不登校問題は一朝一夕で解決出来るような簡単な問題でないことは言うまでもありません。

 

2022年(令和4年)10月22日付の高知新聞の記事によると、香川県三豊市立高瀬中学校夜間学級が、不登校生を受け入れられる「不登校特例校」に公立夜間中学として唯一指定を受け、全国で初めて不登校の現役中学3年生男子生徒を入学させたそうです。

また、その他にも2人の中学3年生男・女生徒が入学を検討して、体験入学中とのことです。

不登校特例校」とは、不登校児童・生徒に配慮した特別な教育課程を編成して教育を実施することを文部科学大臣から指定を受けた学校のことです。

現在、全国で21校あり、夜間中学では同中学校夜間学級だけです。

夜間中学は一般の中学校より授業のコマ数が少ないため、不登校生徒に対し特段の配慮が必要ですが、同中学校は上手く対応出来ているようです。

一般の中学校と異なり、年代や国籍も異なる同級生と一緒の環境で勉強することは、一般の中学校では出来ない貴重な経験になると考えます。

また、状況が改善して、元の在籍校に戻る選択肢も尊重されているそうです。

夜間中学は、本来15歳以上の学び直しの場として設けられた学校です。

しかし、藁にもすがる思いの不登校当事者や保護者にとって、問題解決の方策が増えることは非常に喜ばしいことではないかと考えます。

 

そこで、質問致します。

1 文花中学校夜間学級の現状についてお聞きします。

日本語学級併設校として、外国人の日本語教育の場としても活用されていることをお聞きしています。

現在の生徒数とどのような方が勉強されているのか教えて下さい。

また、日本語学級を修了された外国人の方は、一般にどの程度の日本語能力を身に着けられているのでしょうか、教えて下さい。

 

2 最近、学び直し(リカレント教育)に関する各種報道をよく目にします。

何らかの理由で義務教育期間に満足に勉強することが叶わないまま社会に出た人で、勉強し直したいと考えている人がまだまだ潜在的にいらっしゃるのではないかと想像します。

そういう方々のために、文花中学校夜間学級の存在の周知を更に図ってはどうかと考えます。

教育長のご所見を伺います。

 

3 不登校は、将来「ひきこもり」にも繋がりかねない重要な問題です。

文花中学校夜間学級が「不登校特例校」の指定を受けることは、その解決のための手段を増やすことに繋がります。

不登校特例校」の指定を受ける考えはありますか。

教育長のご所見を伺います。

 

以上で、私の一般質問を終わります。

ご静聴、誠にありがとうございました。

 

(区長答弁)

1 将棋に関する施策について

(1)木村義男十四世名人の顕彰展示並びに学校教育への将棋の導入及び将棋部活動について

本区は、ご指摘のとおり、伊藤宗印十一世名人など、将棋の名人とのつながりが深い地域で、なかでも、木村義雄名人は、現在の本所中学校の地にあった「明徳尋常小学校」の卒業生でもあり、ゆかりのある人物です。

教育委員会では、平成17年に、すみだ郷土文化資料館において、生誕100年を記念して、自筆の色紙や恩師に贈った将棋盤など、ゆかりの品々の特別公開を行ったほか、生誕の地である東駒形一丁目に、史跡説明板を設置するなど、これまでその顕彰に努めてきました。

ご提案の常設展示については、スペースの問題や、本区には、著名な偉人が他にもいることから難しいと考えますが、郷土の偉人を顕彰し発信していくことは、本区の魅力を高め、地域活性化にもつながると考えますので、今後も、周年などの機会を捉えて、その顕彰に努めていきます。

 

(教育長答弁)

1 将棋に関する施策について

(1)木村義男十四世名人の顕彰展示並びに学校教育への将棋の導入及び将棋部活動について

まず、区立学校における将棋部の現状についてですが、現在、将棋部のある中学校は1校です。部員は 13名で、平日の2日間に1~2時間、将棋を指す活動をしており、休日の活動はありません。

次に、部活動の地域移行に伴う、将棋部の設立についてです。

現在、部活動の地域移行に向けて、様々な地域資源となる団体からの聞き取りや、モデル試行に向けた検討を行っています。現在、文化系部活動は 60 部ほどありますので、今後、生徒のニーズ等を踏まえ、検討していきます。

次に、将棋の学校教育への活用についてです。

今まで「総合的な学習の時間」等では、将棋を取り入れたということはありません。その理由は、学習指導要領における「総合的な学習の時間」では、各学校の児童・生徒の実態等に応じて、環境問題や安全、食に関する問題といった、現代的な課題から探究テーマを決め、探究的に問題解決の活動をする場合が多いためです。しかし、将棋を指すことだけではなく、将棋をきっかけとして、日本の伝統文化と組み合わせた学習を展開することは考えられます。

今後は、区立小学校でのクラブ活動や、特別活動の時間の学級活動、区立中学校での部活動等における、将棋を指す活動の教育的効果等について、周知していきます。

 

2 文花中学校夜間学級について

(1)文花中学校夜間学級の現状及び不登校特例校の設置について

まず、現状ですが、文花中学校夜間学級には、現在22名の生徒が在籍しています。内訳としては、外国籍の生徒が5割以上在籍しており、また、日本国籍を所有していても日本語を母語としない生徒も多く、生徒のニーズや実情に応じた、教科や日本語の指導を受けています。また、日本語学級を終了した生徒の多くは、日本語能力試験のレベルN4である、「日常的な場面で会話の内容がほぼ理解できる程度」の日本語能力を身に付けています。

次に、学び直しに関する、文花中学校夜間学級の周知についてです。

様々な理由で義務教育を満足に受けられずに社会に出た方で、学び直しを求める方に対して、本夜間学級の情報を届けることは大変重要なことであると認識しています。都のホームページにも、夜間中学校については掲載されていますが、本区でも引き続き、区報やホームページ、ポスター等で周知し、広報活動に努めていきます。

次に、文花中学校夜間学級を「不登校特例校」に指定することについてです。

先ほどの答弁でもお伝えしましたが、文花中学校夜間学級は、現在、外国籍の生徒が5割以上在籍するとともに、日本国籍を所有していても日本語を母語としない生徒も多く在籍しています。それらの生徒が在籍していることから、不登校に特化した「不登校特例校」の指定を受けることは難しいと考えます。

今後は、ご提案のあった、他自治体の「不登校特例校」に関する情報収集を行うとともに、良い事例等については、学校に対し情報提供していきます。

(2023年2月14日)

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